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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
四
待ちくたびれたのでしょう。もうこうして、とまりを積んで東海道は大磯の宿を、一路江戸へ向かった。
四
延台寺内の虎子石。
曽我の十郎が虎御前の家へ泊まった夜、祐経からはなされたスパイの一人が、十郎を射殺そうと射った矢が、この石に当たったという。
それで十郎は命が助かり、いまだに石のおもては鏃のあとが残っているそうです。
大磯といえば、曽我兄弟……。
そのほか。
西行法師で名だかい鴫立沢――年老いた松の、踊りの手ぶりのようにうずくまる緑の丘の上に。
あの辺に西行堂が……とお駕籠のなかから指さしながら、対馬守はひたすらに、行列を急がせて。
伊賀の暴れン坊の兄。
左手に樹木の欝蒼とした高麗寺山。
ここらの海岸は、その昔、高麗人を移住させたあとで、唐ヶ原と言ったといいます。
花水川を渡ると、だんだん平塚へ近づいてくる。
いくら待っても江戸からは、こけ猿の茶壺のあたりがついたという色よい便りはすこしもない。壺ののむ財産だけが、この際、柳生にとって日光お費用の唯一の目当てなのですから、藩の上下をあげてそのあわてようといったらありません。
壺はかいもく行方知れず。