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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

十

「ははア、それはおめでたいことで――こけ猿の茶壺が、そうたやすく見つかって、大金の所在も判明いたしたとは、祝着至極、お喜び申しあげる」

そう言う老人の顔を、主水正は、じっとみつめてニヤニヤ笑いながら、

「それが、その、ふしぎなことには、林念寺前の手まえども上屋敷の、庭隅に埋めてあるというので、ヘヘヘヘヘ」

けろりとした愚楽老人、

「それはまた、たいそう近いところで、便利でござるな。これが奥州の山奥とか、九州のはずれとかいうのだと、旅費もかかる。掘り出す人夫その他、第一、他領ならば渡りをつけねばならんしな」

「ハイ、おっしゃるとおりで」

「そんなことをしておっては、ちっとやそっとの財産は、それで元も子もなくなってしまう。掘り出す費用と、掘り出す財産と、ちょうどトントンなどというのでは、やりきれんからな」

「ハイ、おっしゃるとおりで」

「さすが思慮深い御先祖だけあって、埋めるときまでに、そこらの点も御考慮になったものとみえる、イヤ、恐れ入った。持つべきはいい先祖だな」

「恐れ入ります。ところで、ふしぎなことがございますので――」

よけいなことを言わせてはならないと、愚楽は大急ぎに、おっかぶせるように、