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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
三
「源三郎殿、しからば……」
としかつめらしく、軽く頭を下げると同時に、スラリ鞘走らせた一刀は、釣瓶落しの名ある二尺八寸、備前長船の大業物。
秋の陽は、釣瓶落し……。
というところから、秋日のごとくするどく、はげしく、また釣瓶落しのように疾風迅雷に働くというので、こう呼ばれる丹波自慢の銘刀。
五尺八寸あまりの大男。肩など張り板のように真っ四角なのが、大きな眼をすごく光らせ、いま言った大刀釣瓶落しを下段に構え、白足袋の裏に庭土を踏んで、ソッと爪だちかげん……。
堂々たる恰幅。
まさに、千両役者の貫禄です。
丹波、横眼を走らせて、ひそかに、立ちあいの柳生対馬守――ではない、田丸主水正を見やると。
主水正は、化けの皮がはげかかっているとは、ちっとも知らないから、
「二雄並びたたず。丹波殿と源三郎は、両立せぬ。いずれか一方が、命を落とすまでの真剣の仕合いじゃ。コレ、源三郎、ぬかりなく……」
なんかと、あくまでも、伊賀の暴れん坊の兄貴ぶっています。
丹波のものものしい構えに対して、源三郎は心憎いほど落ちついている。口の中で、小唄か何かうなっているようすで、
「いきますかな」