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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
十一
」
そんなことを洗いたてずに、ありがたくちょうだいしておけばいいのに、剣術の家柄の家老だけに、いやにカチカチの、融通のきかない親爺じゃな――愚楽老人はおかしいのをこらえて、
「イヤ、すると、当時あの辺は、野原か森ででもあったのでしょう」
十一
愚楽老人と主水正とのあいだに、いかなる長話があったものか……。
それはわかりませんが。
老人、スッカリうち明けて、この頑固一徹の柳生家在府家老を説いたものとみえます。
ピッタリ両手をついてひれふしている主水正の前へ、愚楽さんは、ニヤニヤした顔を突き出して、
「じゃから、そういうわけじゃから、御藩をとりつぶそうのなんのというのが、決して御公儀の考えであるわけはなし、いわば、こけ猿の蔵しておる秘財の何分の一、イヤ、何十分の一――それは、真のこけ猿がみつかり、宝の所在が明らかにならねば、いかほどまでに莫大なる財産かわからぬから、しかとしたことは言えぬが、とにかくその一部分を日光につかわせようというのが、将軍家のありがたいおぼしめし……」
あんまりありがたくもありませんが、そう言われる以上、主水正、いかにもありがたそうに白髪頭をいっそう畳にこすりつける。