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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
毎日毎日ああ泣いてばかりおられては、今に黒眼が流れてしまいはせぬかと――」
「まったくだテ。あの悲しみに沈んでおられた萩乃様を、どうで今夜の席へ引っぱり出すのかと思うと、おいたわしくてならぬ」
「サアサ、むだ口はあとにして、はよう席をととのえねばならぬ。峰先生がお待ちかねだ。よいか、そっちの端を持ったか、山口」
「ウム、サアゆこう……オヤ、これはどうした!」
「ヤ! おどろいたな、どうも……からだと思ったのに、これはいったいどうしたのだ。ヤケに重いぞ、この鎧櫃は」
山口達馬に青砥伊織という、名前だけは一人前の若い門弟が二人軽いつもりで持ち上げようとしたその鎧櫃が、めっぽう重いので、ビックリ顔を見あわし、ポカンと立っておりますと……。
青木三左衛門という、この方はすこし年をとっております。横鬢のところが、こう禿げあがっていて、分別顔。
「ナニ、そんなに重いはずがあるものか。具足がはいっておるかもしれんから、ことによると多少は重いであろうが――さア、手を貸そう」
「ウム」
と、三人のかけ声で、やっと鎧櫃を持ち上げてみると、なるほど重い。
だが、鎧やら何やらはいっているだろうと、青木三左衛門、山口達馬、青砥伊織の三人、べつにそうふしぎにも思わず、小倉の袴をバサバサ言わせて、式場なる道場までかついでまいって、正面に置きまし