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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
正面壇上には、いくつとなく燭台を置いて、かがやくばかり……諸士の前には、ほどよきところに、ズーッと百目蝋燭を立てつらね、それが、武者窓をもれるあわい夜光と交錯して、道場全体、夢のような気にしずんで見える。
鎧櫃の前に、裃を着した峰丹波が、大きな背中を見せて端坐。
その横に、被布の襟をかすかにふるわせて、お蓮様がうつむいている……ひそかに絹ずれの音が、一方の入口から近づいて、なみいる一同の眼がそっちへ向いた。
泣きたおれんばかりの萩乃である。
常ならば、澄みきった湖心のような美しい眼が、赤くはれあがっているのは、いまの今まで涙にくれていたものとみえる。二人の侍女に左右から助けられて、ソロリソロリと、足を運ばせてくる姿は、さながら重病人のようだ。
席がきまると、
「エヘン……」
出もしない咳ばらいをして上座にたちあがったのは、結城左京――あの、穴埋めの宰領をつとめた男。小腰をかがめて、ツツツウと丹波の横手へ進み、皆のほうを向いて、懐中から何やら書き物を取り出しました。
奉書。
つごうのいいかってなことがならべてあるに相違ない――左京、とっておきの声を張りあげて、読みはじめたのを聞くと、