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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

と、変なことを言いながら、平然として、上り框の屑竹をかえりみ、

「竹さん、貴公、どうしてこの壺を手にいれられたかな?」

また叱られるのかと、屑竹はビクビクしながら、

「ヘエ、まったくどうも、こぎたねえ壺で、申しわけございません」

「イヤ、そうあやまらんでもよろしい。どこで、この壺をひろってこられたか」

「いえ、ひろってきたわけではないので。駒形の高麗屋敷の、とある横町を屑イ、屑イと流していますと、乙な年増が、チョイト屑屋さん……」

「コレコレ、仮声は抜きでよろしい」

「恐れ入ります。すると、その姐さんが、これはあまりきたねえ壺で、見ていても癪にさわってくるから、どうぞ屑屋さん、無代で持って行っておくれと――」

「駒形の高麗屋敷?」

と泰軒は、瞬間、真剣な顔で小首をひねったが、すぐ笑顔にもどり、

「イヤ、そうであろう。誰とても、このよごれた壺をながめておると、胸が悪くなる。こんな不潔な壺を長屋へ置くことはできん。竹さん、わしはこの壺をもらっていって、裏のどぶッ川へ捨てようと思うが、異存はないであろうな?」

「異存のなんのって、どうぞ先生、お持ちなすって、打ちこわすなり、すてるなり……ふてえ壺だ」