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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
と。
笑いだしたのだ、対馬守は、肩をゆすぶり、腹をかかえて。
「はっはっは、イヤ、心配いたすな。あの源三郎にかぎって、自分の身ひとつ始末のできん男ではない。ことには、玄心斎と申す老輩もついておること。司馬道場の儀は、源三郎にまかせておけばよい。婿にやった以上、いわば彼の一家内の紛争じゃ。それくらいの取りしきりができんようで、この対馬の弟と言われるか、アッハッハッハッ」
剛腹な笑いを頭から浴びて、主水正は、ホット助かった心地――相変わらず太っ腹なお殿様だと、たのもしさが涙とともにこみ上げてくる。
ふと対馬守は、遠いところを見るような眼になって、
「どこにいるかの……源三郎は、この兄の出てまいったことも、知らぬであろう。からださえ達者なら、大事ないが……」
あらそわれぬ兄弟の情です。
が、対馬守はそれを振りきるように、ふたたび主水正へ、
「当ててみようかノ?」
「何を、でございます」
「上様のお手で、一夜のうちにこの屋敷の隅に埋ずめた金額を――サア、まず、日光修覆にカッキリ必要なだけ。それより百両と多くもなく、また、百両とすくなくもないであろう」
「まずさようなところかと……なにしろ、あの愚楽老人のやることでございますから」