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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

「ほんとうにむごたらしいけれど、敵味方とわかれてみれば、これもしかたがないねえ」

大きな丹波の肩にかくれて、見えなかったが、こう言って溜息をついたのは、お蓮様である。

取りまく不知火連中の中から、誰かが、

「ムフフ、御後室様はいまだにあの源三郎のことを……」

お蓮様は、さびしそうな笑顔を、その声の来たうす暗いほうへ向けて、

「何を言うんです。剣で殺されるのなら、伊賀の暴れン坊も本望だろうけれど、お前達の中に誰一人、あの源様に歯のたつ者はないものだから、しょうことなしに、おとし穴の水責め……さぞ源さまはおくやしかろうと、わたしはそれを言っているだけさ」

「そうです」

と丹波は、ニヤニヤ笑いながら一同へ、

「お蓮様は武士道の本義から、伊賀の源三に御同情なさっているだけのことだ。よけいな口をたたくものではない」

と、わざとらしいたしなめ顔。

「そこへ、あの丹下左膳という無法者まで、飛びこんできて、頼まれもしないのに穴へ落ちてくれたのだから、当方にとっては、これこそまさに一石二鳥――」

みなは思い思いに語をつづけて、

「もうこれで、問題のすべては片づいたというものだ。