轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

相手というのは。

対馬守入府の通知を受けて、いま小石川第六天の自邸から、打ちあわせに来た別所信濃守です。

賄賂の出し方が少ないというので、今度の日光修営に、副役ともいうべきお畳奉行を当てられた人で。

屋敷の門を出るまで、

「名誉じゃ、名誉じゃ。イヤ、運の悪い名誉じゃテ」

と、ほとんどべそをかかんばかりだったが。

名指しを受けた以上、否応はありません。

くすぐったいような、泣き出しそうな顔で、いま対馬守の前にすわっている。

蒼い頬、痩せたからだ。金のかかるお畳奉行は、なるほど重荷に相違ない……貧相な人だ。

ここでひとことでも対馬守が、ほんとに今度はえらい目にあって――とでもいうようなことを言ったら、同病あいあわれむで、すぐ本音を吐き、愚痴をならべ出す気の別所信濃守だが。

主役たる造営奉行の肚がわからないから、めったに不平すことはできない。

へたに迷惑らしいことをいおうものなら、公儀へ筒ぬけともかぎらないので。

対馬守も同じ心だ。

たぶんまいっているのだろうとは思うが、相手の気持がハッキリしないので、うち明けて、どうも困ったことに……とは言えない。

「諸侯のうらやむお役を引き当てましたことは、一身一藩の栄誉、御同慶至極に存じまする」