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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
「百姓は近年、なみなみならぬ困りようでございますが、穀種を他から借り受けて、ようやく植えつけをすまし、本面の額を手ずから作る者は、いたってすくないとのことです」
「実に窮乏の体に見えます。そこで、このたびの東照宮御普請は、各領その高々に応じて、人別で沙汰するようにするのですナ」
「殿、おそれながら……」
「日光山から四十里のあいだは、御修覆ができあがるまで、住民の旅立ち、その他すべて、人の出入りを禁ずることは、お山止めと言って、これは先例のとおりです。各所に関所を設けて、この見張りを厳にせねばならぬ」
「さよう。それから、いっさいの雑役は、たしか宗門を改めたうえで、各村から人足を出させるのでございましたな」
「そうです。壮年組は二十五歳から五十歳まで、少青年組は十五歳から二十三歳までをかぎって、村々から人夫を取りたて、昼夜の手当と、昼飯料をとらせねばならぬ」
対馬守は、今度のお役につき調べたところを、ボツボツ思い出しながら、
「すべてこの日光を取りまく四十里の地が、御修理に力を合わせることになるわけで、女子にもつとめが科せられるはずだとおぼえておる。十三歳から二十歳までの女一人に、一か月につき木綿糸一反分を上納させるんですな――」