轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
そうして、あの美しいお武家様が一人になったら、また自分へ、色よい言葉をかけてくださるかもしれぬ……。
お露の頭には、このこと以外何もありません。こうして彼女が源三郎の所在を道場へ通じることが、どう事件を浪だたせて、自分は無意識のうちに、どんな運命の一役を買っているのか、そんなことを思うひまは、お露にはないのだった。
ころがるように急ぐ道に、だんだん小石の影や、土の色がうっすらと見えてきた。東が白みかけたのだ。まもなく、途中ですっかり夜が明けはなれたので、疲れきったお露は、通りかかった辻駕籠を呼び止めて、早朝の女の一人歩きにいぶかしげな顔をしている駕籠かきへ、
「あの、駕籠屋さん、お父さんが急病なんですが、お父さんのかかりつけのお医者様が、本郷の妻恋坂にいましてね、そこまでいそいで迎いに行きたいんですけれどやってくださいな」
とお露、さっそくの機転でそう言った。そして、駕籠屋のうなずき合うのを待って、裾で足を包んだお露、スルリと乗りこんだのです。
二
ずいぶん気の長い話……だが、双方、意地になっているのだ。
妻恋坂、司馬道場の屋敷内には、まだふしぎな頑張り合いがつづいている。