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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
いま泰軒の言ったとおり、江戸の大空に明鏡をかけたように、大小の事々物々、大岡様の眼をのがれるということはないのですから、この、巷に隠棲する作阿弥を、かねてからそれとにらんでいたとしても、すこしのふしぎもないので。
対馬守がこのたびの日光修営に、作阿弥の力を借りようとして、諸所方々へ手をのばしてその所在を物色しているということも、江戸じゅうに網のように張りわたしたお奉行様手付きの者の触手に触れて、すぐ越前の耳に入ったに相違ない。
壺でさんざんいじめられた柳生藩を、越前守は、助ける心だったのでしょう。
知らせを受けた対馬守はこおどりして、ただちに今宵。
こうしてこの江戸家老田丸主水正に、迎いの駕籠をつけて、長屋へつかわしたというわけ。ところが。
さっきからいかに辞をひくうし、礼を厚うして出廬をうながしても、作爺さんの作阿弥は、いっかな、うんと承知しません。
ひとたびは主水正の必死のすすめで、ひさしく忘れていた芸術心が燃えあがり、よっぽど、やってみようか……という気にもなったようすだが。
いま自分がこの長屋を出るとなると、かあいいお美夜ちゃんやチョビ安は、どうなる?