轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
かさなる意外な出来ごとに、長屋の連中は潮が引くように、外の路地へしりぞいて、土間に静かに立っているのは、田丸主水正ただ一人。
ちょっとしんみりした空気のなかに、主水正の低声が、底強くひびいて、
「作阿弥殿、では、御出立を――」
「ただいま」
とふり向いて、お蓮様へ、
「貴様が、自分の栄耀に眼がくらんで、子をかまいつけなんだように、わしは、わし自身の芸術の心にのみしたがって、貴様のことなど、意にも介せんのじゃ。あとのことは、泰軒先生のお指図を受けて、よしなにするがよい。コレ、チョビ安よ。お美夜坊の母親は、この人でなしだったのじゃよ。なんにしても、お美夜坊には母と名のつくものが一匹、現われたわけだが、こんどはチョビ安の両親じゃ。それにつけても田丸殿! この安の父母を、そこもとのお手でお探しくださるという条件で、わしは日光へまいりますのですぞ。かならずこの約定を御失念なきよう……」
「あとをまかせられても、困るがナ」
泰軒は髯をしごいて、
「お蓮様とやらには、またいろいろと事情もあろうが、それはいずれ聞くとして、どうじゃな、お美夜坊。おまえはこの女を、母と思うかの?」