轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
トンガリ長屋は、急にひっそりとして、ここ、今は主なき作爺さんの住居には、油のつきかけた破れ行燈のみ、黄っぽい光を壁へ投げている。その前にすわった泰軒、お蓮様、お美夜ちゃん、チョビ安の大小四人の影を、複雑にもつれさせて。
大胡坐をかいた泰軒居士が、じっと眼をつぶっているのは、今、柳生対馬守の嘱望もだしがたく、命を賭けて神馬の像を刻もうと、このたびの日光造営にくわわっていったあの作阿弥を、こころ静かにしのんでいるらしい。
人間は、こうも変わるものかと思うほど、すっかり別人のようにうちひしがれているのは、お蓮様だ。
本郷の司馬道場では、このごろこそだんだん、あの源三郎一味におされぎみに、わが屋敷とはいいながら肩身がせまくなっているものの、それでも、椎たけ髱の侍女数十人を顎で使い、剛腹老獪な峰丹波をはじめ、多勢のあらくれた剣士を、びっしりおさえてきたお蓮様だったが。
それが、今の彼女は。
髪はほつれ、お化粧ははげ、衣紋はくずれて、見る影もありません。まるで、このトンガリ長屋のおかみさんの一人のよう……。
「思うことは、何もかもくいちがうし、アア、たった一人の子供にまで、こんな愛想づかしをされて、わたしという人間は、この先――」