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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
当時はヒョロヒョロの貧弱な苗でいかにも献納者の懐具合を語っているようだった杉の若木が、今では日本の輪奐美に、うるわしい調和を見せて、寄進元の頭の良さを示している。
「ずいぶん苦しい思いをして、この杉を植えたのであろう」
今、杉の下を通りながら、お駕籠のなかの対馬守様、同病あいあわれむで、そんなことを考えている。
「昔から日光のためには、貧乏な大名が、みな泣かされてきたのだ――」
大金の所在をのむこけ猿の茶壺は、いまだに行方がわからない。
困っている柳生藩を見かねて、愚楽と越前守の取りなしで、あの贋の茶壺を庭の松の木に引っかけ一夜のうちに上屋敷の隅へ、この日光に必要なだけの入費を埋ずめておいて柳生を助けた。
いわば、吉宗公のポケットマネーで、やっとこうして造営に出てこられたのですから、対馬守さま、内心おもしろくないことおびただしい。
それにつけても、こけ猿はいまどこにある?
思うのは、このことばかりです。
殿様の身がわりに真剣勝負に立ちあったばっかりに、すんでのことで峰丹波の一刀を浴びるところだった田丸主水正、今は騎馬で、この行列に加わっています。
二