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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

お美夜ちゃんは気味わるそうにびっくりしたようすだったが、

「ええ、あたい、だんだん母ちゃんのように思ってきたわ。だからいっしょに泰軒小父ちゃんにお願いして、ねえ、早く日光へ――」

チョビ安はポカンと口をあけたまま、あっけにとられて、このありさまを見守っています。

「それじゃア、わっちは出なおしてきやすから、ヘイ」

引っこみのつかなくなった銅義、こそこそ框へにじり寄ると、そこでチョビ安とお辞儀をして、出て行ったが、誰ひとりそれに気のつくものもない。

じっと眼をつぶって、考えこんでいる泰軒先生、

「安大人」

と静かに声をかけて、

「これをとめることはできまい」

「エ? するとなんですかい、お美夜ちゃんとお蓮さんを、日光へ出してやろうとおっしゃるんで?」

「父同様に育ててくれた祖父に、一眼会いたいというお美夜坊のまごころ――また、不孝をしつづけてきた老父に、最後の詫びを願いたいというお蓮どのの赤誠。このふたつがいっしょになったのでは、どう考えても、それをとめる力は人間にはないぞ、チョビ安」

「なに言ってやんでエ、泰軒坊主メ! なら、おいらもいっしょにゆかア」

とチョビ安は、ぐいと眼をこすった。