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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

翌朝にでもなれば、きっと役人の前へ呼び出されて、どうしてこういう予期もしない好遇を受けるのか、その理由もわかるであろうから、そのとき自分たち母娘は、この日光造営方の工人の一人、彫刻名人作阿弥の身寄りの者で、彼をたずねて入晃したということを、申しあげればよい……。

お蓮様はそう思って、旅の疲れにこの思いがけないもてなしをいいことに、その夜は手足をのばして休んだのだったが……。

翌日になっても、翌々日がきても、イヤ、何日たっても、なんの音沙汰もないばかりか、さながらこの家へとじこめられたなり、すっかり忘れられてしまったよう――。

どこから運んでくるのか、三度三度の食事などは、ごちそうずくめ。

身のまわりの用を達するには、ちゃんと侍女がつけられているし、なんの不足があるわけではないが。

これでは、まるで、日光へ寝ころびに来たようなもの。作阿弥に会いたいということを伝達したいにも、その方法がない。

唖なのです。……その唯一の腰元というのは。

まず、退屈しはじめたのはお美夜ちゃんで、

「ねえ、母ちゃん。日光の町のほうへ、お爺ちゃんを探しにゆきましょうよ」

「そうねえ。