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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

そのとたんに、

「ウフフフフフ、だいぶ胆をひやしたようじゃが、その調子では、墓埋めなどというすごい仕事はつとまるまいテ、わっはっはっは」

また大声が、眼の前に爆発して、暗黒が凝ったかと見える一塊の人影が、ノッソリ立ち現われた。

それでも。

穴のまわりのやつらは、まさかここへじゃま者が飛びこんでこようとは考えないから、あくまでも、仲間のひとりと思いこんで、

「石があったかと、きいているんだ」

「さっさと埋ずめて、引きあげようではござらぬか、結城氏」

口々につぶやきながら、こわそうに二、三歩ずつ後ずさり。

だが。

結城左京にしては、チトからだが大きい。

かれ左京、突然妙な服装をしてここにもどってきたのか――。

この拍子に、暗がりで何も見えない彼らも、一時に合点がいったというのは。

眼前の大きな黒法師の横から、子供の声がして、

「居候の小父ちゃん、この穴だよ、父上が落ちこんだのは! 早くこいつらを追っぱらって助けてちょうだいよ。ねえ、イソ的の小父ちゃん!」

「ヤヤッ! この子ッ?」

「ウム! 宵の口まで、この穴のまわりをうろつき、父上、父上! と左膳を呼ばわっていたかの少年!」