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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
マ、それはそれといたしまして、サテ、宇治では、各大名の茶壺に新茶を詰め終わりますると、これなる蓋をいたし、この蓋の上から、ピッタリと奉書の紙をはりまして、壺の口に封をいたします」
「フム、それは余も存じておる」
「おそれいります。その封をした茶壺を、それぞれ藩へ持ちかえり、藩公の面前において、お抱えのお茶師が封を切り、新茶をおすすめまいらする……これを封切りのお茶事と申しまして、お茶のほうでは非常にやかましい年中行事の一つでございます」
愚楽老人は、せっかちに、背中の瘤と膝を、いっしょにゆるがせてすすみ出ながら、
「イヤ、そこらのことは、よくわかり申した。が、わからぬことがたったひとつある。このこけ猿も、毎年宇治へ往復して新茶の詰めかえをしたものなら、中に古い地図などがはいっておったら、とうに人眼につかずにはおかぬはず。とっくの昔に誰かが見つけて、もう宝は掘り出されたあとかもしれぬテ。さようではごわせんか、上様」
「そうも考えられるが、さもなければ、その図は、はじめから壺の中ではなく、壺は壺でも他の場所に――」
言いかける吉宗の言葉を、愚楽が横から折って、