轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
「何になさるんですか」
「牛若さまにお着せするのだ。――誰が見ても、女にしか見えないように、翠蛾とふたりして、牛若さまを化粧してうまく装ってくれないか。そのまえにおれはおれの身支度に取りかかるから」
「今、姉さんを呼んで来ます」
やがて、翠蛾も来る。
翠蛾は、妹の檀那が、金にはきれいだが、何となく危険な人物ということは、年上だけに日頃から感じている。その吉次が立ってくれることは、来年の初夏まで、ほっと出来る事だった。
「まあ、今夜お立ちですって。――お名残り惜しい」
それから翠蛾は、自分たちの衣裳を寄せて、あれこれと牛若に装ってみた。また、牛若の髪を解いて女結びに直したり、白粉をつけたりした。
「お綺麗な……」
姉妹は、自分で作った人形に見恍れる人形師のように、牛若をながめた。
牛若は、黙って、身をまかせたきりだった。若い殊に艶やかな白拍子の姉妹に、自由に弄ばれている間、彼の血は、生れて初めて知る大きな動悸に音を立てていた。女のにおいというものが、余りに強すぎて、横を向きたいほど、顔も火照り、胸ぐるしくもなった。
「もういいよ、いいよ」
しまいには堪えかねて、姉妹の手をふり払い、後はひとりで支度した。