轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

二

二

その牛若を睨みすえて、

「どこへ行っていたか」

法師のひとりが詰問ると、他の者も寄って、その小さい体を、頭から覗き下ろして脅した。

「こらっ遮那。なぜ黙っておるか。なぜ返事せぬか」

すると牛若は、叱られるかどもないのにと云わぬばかりの不平を、その口に尖らして答えた。

「何処へも行きはしませんよ。ここにいるじゃありませんか」

「嘘をいえ。いなかった」

「いました」

「こいつ」

右手の薙刀を左に持ち代えて、その手を牛若の襟がみへ伸ばそうとすると、牛若は、退がって、

「ちゃんと、山にいたのに、いないなんて、僧侶が嘘をついてもいいのかい」

あべこべに、喰ってかかった。

法師たちは憤って、

「げんに今、貴さまは裏山の谷から上って来たじゃないか。朝から中堂にも姿を見せず、それでもいたと云うか」

「云う……」

「なに」

「山にはいたんだもの」

牛若は肩を昂げている。

「…………」

唖然たる法師たちの顔だった。二の句がつげないといったふうな呆れ顔だ。

「――この山にさえいればいいんでしょ。麓から先へ行く事ならんと、常々、お師匠様からも六波羅衆からも固く云われているから出た事はない。こんなにおいいつけを守っているのに、どこがいけないんですか」