轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
四
道理で、どこか見かけた覚えがあると思ったら……?」
吉次は、老柳の木陰に潜みながら、すぐ側を通ってゆく光厳のすがたを、それが彼の持っているほんとの物らしい鋭い眼で、じっと、横顔から足のつま先まで見ていた。
光厳は、何も気づかず、やや下流の仮橋を東へ渡っていた。――その影が渡りきる頃、何思ったか、突と、吉次も足を早めて、仮橋の躍る板のうえを大股に踏み出していた。
四
産寧坂を上りきった頃を見すまして、吉次がうしろから声をかけた。
「――光厳さん」
「え。……どなたです」
「名を云っても、あなたはご存知ないでしょう。奥州上りの金売商人ですが」
「何ぞ用ですか」
「そこの観音堂の濡れ縁にでも腰かけましょう。……先程はついどうも、失礼をいたしまして」
「先程とは」
「つい今し方。加茂河原で」
「えッ、河原で」
「みんな伺ってしまいましたのさ。悪い気じゃありませんが、風下にいたせいか、あなたと鞍馬の使者が、小声で云っているのも、聞くまいとしても聞えて来て――」
「ああ兄上との話を?」
「へい、残らずみんな」
「聞いたと」
「聞きました」
堂の濡れ縁に腰かけこんで、嘯くように顔を見せつけている吉次を、光厳は、怪しみと、恐怖と、殺意と、いろいろな感情に絡まれながら蒼白になって睨めつけた。