轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

五

五

何事かと驚いて、宗盛や資盛もあわててそれへ見えるし、侍たちも挙って、広縁の一方へ畏まった。

すると入道は、

「福原へ赴こう」

性急に云い出したものである。

「――都はおもしろくない。事々に気が滅入るか焦立つか、生命の楽しまぬことばかりだ。福原の荘へ赴いて、遊び船を浮べよう。夜は、宗盛が舞を見、敦盛に笛をふかせ、資盛の鼓を聞こうよ。――すぐにだぞ。支度支度」

もう入道は、室をすてて、先へ歩み出すのであった。

答える間もあればこそだ。侍たちは走り出で、右往左往、

「お出ましであるぞ」

「お車の用意」

と、供触れして駈ける。

これから福原へ行くには夜をとおして明日の朝になろう。松明の用意も要る。少なくも五百人や七百人の武者は従いてゆかねば物騒でもある。――為に、その慌ただしさと云ったらない。

が、入道は斟酌もない。はやくも引出された車の中に移って、揺るぎ出すのを待ち遠しげに坐っている。そして、

「宗盛も行け、資盛も行け」

と、いったふうに、その他の家族たちをも至極簡単に名ざして、後から思い出すまま云う。

入道の気もちとしては、誰も行きたかろう、彼も遊びたかろう、孫や女どもへも、歓びを分けてやる気でいうのであったが、女たちも孫たちも、いや一族の誰でもが、入道と同行するのは余り欣しい事としていなかった。