轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
三
同時に、また。
その危険が、無事の中からはなかなか奮い起せない――乗るかそるかの出発へ――勇気と決断とを、いや応なく抱かせてくれていることにも、大きな感謝をもった。
自分の本質は、誰よりも自分が知っている。もしこういう四囲の状態が生じなかったら、美しき新妻との生活に、断ちきれない未練も持ち、生来の遊惰や閑に馴れた癖がつい意志を鈍らせて、遂に、千載の機を逸してしまうかもしれない。――彼は自分の一面には多分にそういう自堕落のあることも省みていた。
そう考えると、危険は、生命の外部の事態よりも、生命の内部にあるもののほうが、はるかに危険であったと思う。
――が、もう彼はその心のうちに、果断をすえていた。政子を伊豆山へ移して、身ひとつになった心地の朝から、彼はわれながら、何か、日頃の凡夫でなくなった気がしていた。誰もいない所で、独り坐っているにしても、その「断」を胆において、端厳と威をつくろっていた。
(――あなたは源家の統領でお在せば、いかで平家がこれ以上、見のがしておきましょうぞ。一刻もはやく、身をもって奥州へなりとお遁れあれ)
三善康信から来た二度目のてがみには、もう足元へ火がついたように書いている。