轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

二

「鬼藤次、鬼藤次」

と、彼の寝小屋へ呼んだ。

すると、はいっと答えて、厩の陰から立出でたのは、三郎冠者盛綱で、

「ただ今、曳きまする」

と心得顔に、りんどう黒を厩から解いて、前へ曳いて来た。

頼朝は、不審顔に、

「鬼藤次はいかがなせしか。今朝はそちが厩の世話をいたしたのか」

と、訊ねた。

盛綱は、何気ない顔して、

「昨夜おそく、急病を発したとやらいうて、南条の里へ帰りました。夜中なれば、お暇も告げずに行ったのでございましょう」

と、答えた。

小者の事なので、頼朝は、そうかと、気にもかけない容子で、いつもの朝の如く、りんどうの鞍へ跨がって、野へ駒を調らしに出た。

人も駒も、一汗かいて、野から帰って来る頃に、陽は朝霧を破って山のうえに昇っていた。

「なるほど」

盛綱は、何を感心したか、その帰るさ、駒の口輪をつかみながら、頼朝のすがたを振仰いで、

「兄者人の定綱が、いつも云わるるには、殿のご大食には驚く、あの華奢なおからだで、朝などお汁を何杯もあがるなど、いつも驚嘆していますが、なるほど、これではご空腹もごむりではない……。盛綱めも今朝は、眩くほど、すき腹になり申した」