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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

「盛長、おぬしから話してくれい。――宗時からは、妹の事、云い難いところもあろうで」

土肥次郎実平が云う。

その側には、北条の総領宗時。そして、配所の家人で、夫婦して常に頼朝の世話をみている安達藤九郎盛長とが並んでいた。

他の若人輩とは、やや離れて、対い合の形になってである。

形の上では、そう三名が、この青年達の会合では、首謀者といった格に見えた。

――北条殿のむすめと、山木判官とが、近いうちに結婚するという噂も、隠れないものとなって、冬も十一月の半ばという頃だった。

かねて、政子の希望としてもう一度、嫁ぐ前に頼朝に会いたい。そして自分の本心も併せて佐殿まで告げておく。――という事が、ゆうべ実行されたので、今日は、その佐殿が、

(彼女と会って、彼女から何を打明けられたか)

を聞こうとて、こうして集まった腹心の友だちどもであった。

友だちといっても、豆相の郷土を共にするこの若い友の群は、平家の公達などのやっている恋の戯れだの歌舞宴遊だのという生温い青春を倣おうとはしなかった。もっと逞しい慾望を、その強健な体に持って、半島以外の天地へ伸び上がろうとしているのだった。