轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

先頃の暴風も、嘘のように凪ぎている。

「政子さま。それにおいでなされましたか」

「誰じゃ」

「牧場の於萱でございます」

「萱か。……待っていました。何ぞ変った事でも聞きましたか」

「はい。ようやくのことで、ご先途がわかりました」

庭口から忍んで来た牧場の妻の於萱は、それへ来て、夜露の中にひざまずいた。

彼女も、政子のために、生命がけで戦の後の情報を聞き蒐めに行っていた一人であった。

「――頼朝様には、二十四日の戦に、お味方と、ちりぢりにお別れ遊ばした後、実平殿お一人がお供して、椙山から箱根へお越えなされ、そこで都合よく、舅君の北条時政様とめぐり会い、ひと先ず箱根権現の別当の弟永実様のところへお身を隠し遊ばしました。……もうご一命は、大丈夫でございまする。永実坊も行実坊も、あのご兄弟とも、前々から源家に深く心を寄せている衆でもございますから」

政子は、聞いているうちから、涙があふれて――天佑に感謝する気もちと歓びにいっぱいになって――於萱の労を犒ってやることばすら出なかった。

では、良人もこよいは、戦い疲れた身を、久しぶりに、屋根の下に横たえているだろう。

――そう思うと、彼女も遽にそこへ坐ってしまいたくなった。