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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

四

――いかに各※(二の字点、1-2-22)。殿の水干を彼に下さるほどならば、この上総介にこそ賜わるべきであるまいか」

と、云った。

四郎義実は、なお戯れて、

「やあ、そねむな老人。どれほどな手柄があって」

「なんじゃ、手柄くらべなら、和殿ごときに、おくれはとらぬ」

老人も、負けずに云う。

酔ってはいるし、聞えた荒武者である。四郎義実は、顔を燃やして、

「なにを」

つめ寄ると、老人は、

「所存あらば、後日を待て」

と、云い放った。

「後日とな。笑止笑止。すぐにとは、なぜ云わん。老ぼれ、海べへ出よ」

君前でもこの始末である。

頼朝も、笑って見ているほかなかった。

すると、こよいの亭主、三浦義連が、ひきわけて、

「どっちが平家か」

と、双方を見くらべながら詰問した。

双方とも、それで黙りこんでしまうと、

「せっかく、涼しゅうご酒興をと、殿のおいでを仰いで、義連が設けた席で、私闘は何事でござるか。おふたり共、少し自分のお年を弁えたがいい」

と、たしなめた。

頼朝は、この日から、わけて義連に目をかけた。さすが三浦大介が子であると思った。

そうかと云って、頼朝は、岡崎四郎や広常老人を、