轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
「いとお易いことで。拝殿のお間近は如何か存じませぬが、鳥居内の広場でなら、さしつかえあるまいとのおことばでしたから」
「では、その日にはぜひ、わしも伴れて行ってもらおう。吉次と告げずに、船の者ということで」
吉次は、待ちかねた。
そういう折なら義経も必ず参列するにちがいない。継信、忠信の兄弟が、あれきり浜にも来ないところを見ると、義経のほうにも、四囲の事情、ままにならないものがあるのであろう。そう思いやられもした。
庶民は祭がすきである。鎌倉じゅうがその日を待ちかねていた。新しい宮の屋根が、百年もまつりの絶えていた山の木々を透いて仰がれるのも歓びだった。そして大鳥居から由比ヶ浜のほうへ一条の大路が拓け、また、町屋を縫って山内の方面へも新しい道路ができ上がって、きれいに砂がしきつめられ終った朝、棟上げの式は厳かに執り行われた。
吉次は、鳥居わきの駒つなぎ場に近いところに土下座していた。ここの一かたまりは、特に拝観をゆるされた武家以外の者ばかりだった。吉次は、前の列に、早くから坐っていた。
頼朝夫妻が、群臣にかこまれて、眼のまえを通って行った。新しく築かれた高い石段を踏み登ってゆく姿は神々しくさえあった。