轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
三
頼朝もまた、その言を吐くために、心のうちでは、非常な努力をしているらしい顔いろであった。
「……はい」
義経は、ようやく起ち上がった。――けれど、曠々しい衆人の中である。恥かしさに面は上げられなかった。
三
若宮の辻や、寿福寺の並木道あたり、いや鎌倉じゅうが、うすい埃の下に、夥しい人の流れを描いていた。
頼朝の帰館を、今しがた見送った路傍の人々が、行列の通過と共に、静粛をくずして散らかり出した埃である。
「あぶないっ」
「端へ寄れっ」
行列が終ってからも、後から後から二騎、三騎と絶えない蹄の音が、油断している往来を脅かした。
濶葉樹の大木が道の空まで茂り合っている辻の曲り角までその一騎が来かかった時、つと木陰から往来へ躍り出て、
「しばらく」
と、その駒の口輪をつかんだ男があった。
「誰だっ?」
馬上の人は源九郎義経だった。ふたりの従者は云うまでもない継信、忠信の兄弟で、
「やっ、和殿はいつぞやの男よな」
「吉次ではないか、何をするか」
共に、馬前から吉次を押し隔てようとしたが、吉次は、耳もかさず、
「しばらく、しばらく」
云いつづけながら遮二無二、森の小道へと馬を引き込んでしまい、往来の目から離れると、ようやく草むらにうずくまって手をつかえた。