轻松读懂日语经典作品
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页
「嘆きはしません。もし、ご病気か何ぞで、もはや世に亡いものなれば、世を果てたと、お教えください」
「そういう事がないにしても、なお世にあるお方と、あなたがそう恋い慕われるのは、お察しはできるが、おまちがいでしょう」
「……まちがい?」
「牛若どの、乙若どの、今若どの――そう三人の和子が生命を守り終って、母としてなされる苦患も務めをも成し果たされた日から――常磐どのは恐らくご自身でも、すでに世にない身ぞと思い極めておいでではなかったでしょうか」
「…………」
「世間はみなそうお察しして、陰ながらわれわれまでも、美しき前世のお方よ、と密かに称えているのです。――その後、誰の妻になったであろうとか、幾人の子を生したであろうとか、そんな噂はあっても、別人の事としか聞かれませぬ。他人ですらそう思っておりますのに。……御曹子、それでもなお、あなたは強って、もう一度、生ける人にひき戻して、敢ないお苦しみをそのお方にかけたいと思いますか」
三
測らぬ人に行会って、測らぬ想いは義経の胸に増していた。
その公朝と熱田で別れ、彼は京都へと上貢の旅をつづけていた。
雨の日が多く関ヶ原あたりの河川は氾濫し、旅程は、おくれがちだった。