轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

「アア」

頼朝は、口を開いて欣んだ。

いかにも、少年らしく、

「もう、咲いているんですね。外には」

「あれに、銅器の瓶があります。水を汲み入れてさしあげましょう」

「自分でやります」

よほど欣しかったと見える。自分の手で、古銅の瓶にそれを挿けると、回向の水の供えてある小机の傍らに置き、

「いい匂い――」

と、花の香を嗅いだりして、歓喜していた。

「弥兵衛」

「はい」

「もひとつ、お願い事があるのじゃが」

「何ですか」

「きき入れてくれるか」

「仰っしゃってご覧じませ」

「小刀と木切れを賜わるまいか」

「小刀を」

「さればよ、明日は、父義朝の五七日の忌にあたる。小さい卒塔婆なと削ってご供養のしるしとしたいが」

「……ああ。はや左様な日数になりますかな」

宗清は、あわれに思い、

「囚人のおん身なれば、刃ものは参らせるわけにゆきませぬが、お心の届くように計らいましょう」

と約束した。

そして自分の部屋へ退がってから、郎党の丹波藤三に、小さな卒塔婆百本を調えさせて、頼朝の牢屋へ持たせてやると、頼朝は非常に満足のていで、

「忘れおかぬぞ」

と、恩に思う由を、藤三の口からまた、伝えてよこした。