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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

槍を立て、その他の諸道具を並べた行列――お駕籠のなかは殿様かと思うと、そうではなく、お茶壺がひとつ、チョコナンと乗っかっていようという。

騎馬、徒歩の警護の侍が、ズラリと壺を取りまいて、

下におろう、下におろう……!

平民はみな土下座をして、壺一箇を送り迎えしなければならない。

第一日は、品川松岡屋が定宿。

「サア祝儀が出るから、こんなのんきな旅はない。ゆるゆる行こう」

こう言って、供の人数を見まわすように振りかえったのは、石川左近将監の重臣で、竹田なにがし。

あの日光お相役をのがれるようにと、賄賂を持って柳生藩江戸家老、田丸主水正のもとへ使者に立ったことのある人物だ。

こんどその、石川左近将監どのの茶壺が、宇治へのぼることになったについて、竹田が道中宰領として今江戸を出発するところ。

旅にはもってこいのいい時候。

朝七つ時に神田連雀町の石川様の屋敷を、御門あきとともに出発した一行は、これから五十三次を、お壺だちといってそれぞれの宿場にとまりを重ねてゆくのだが、宿屋などでは身祝いをして、御馳走が出たり、名物のおみやげがめいめいの前に山と積まれたり……。