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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
役得根性の一同は、イヤ、もう大喜びだ。
何日となく旅をつづけて、大磯から小田原へはいると、いわゆる箱根手前、ここは大久保加賀守の御領で、問屋役人から酒肴が出る。
竹田の一行はすっかりいい気持で、箱根を越え、サテ、いまこの沼津へさしかかりました。水野出羽守様御領……。
沼津名物、伊賀越え道中双六の平作と、どじょう汁。
品川から十三番目の宿場ですな。
三島からくだり道で、沼津の町へはいりますと、
「どうだい、右に見えるのが三国一の富士の山、左は田子の浦だ。絶景だなア!」
お壺の駕龍が千本松原へ通りかかると、お壺休み。つきしたがう侍たちは、松の根方や石の上に腰をかけて、あたりの景色にあかず見入っています。
警護頭の竹田も、のんびりした気持になって、お駕籠わきの床几にからだをやすめながら、煙管をとり出して一服しようとする……。
そのときだ。
たちならぶ松のむこう、下草などの生い茂っている草むらのなかから、ヌッと白い柱のようなものが起ちあがった。が、まだ誰も気がつかない。
「さア、ひと休みしたら、そろそろ出かけるとしようか」
てのひらで煙管をたたいて、竹田がポンと火殻を吹いた。