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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

で、殿様につぐ第二の鍬は、一風宗匠。

非常な老齢ですから、立っているだけでせいいっぱいだ。むろん、とても鍬なんか持てやしない。高大之進が鍬を持って掘るまねをすると、人の介添で一風がちょっと手を添えただけだ。

こうして地中から取り出した金は、案の定、やっと日光の費用に間に合う程度だったが、これで柳生は、ともかく助かったというもの。

ここに、床の間いっぱいにあふれるように、三宝にのせて飾ってあるのが、こうしたからくりのひそむ金であります。

そんなこととは知らないから、信濃守はうらやましそう。しきりに感心していると、柳生対馬守は事務的に相談を進めて、

「サテ、お山止めの儀でござるが……」

と、言い出したとき、

「殿――」

はるか廊下のかなたに、何ごとか知らせに来た侍の平伏する頭が、見えた。

五

はるか下がって、廊下に額を押し当てた若侍の声、

「申し上げます。ただいま……」

ところが。

だいたいこの柳生対馬守は、剛腹な人間の通例として、非常に片意地なところのあった人で、ふだんでも、気がむかないと、誰がなんと話しかけても知らん顔、返事ひとつしないことがある。

おまけに、今は。