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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

「近くお礼に参上すべしと先刻申し上げしとおり、明朝、当屋敷内の道場において、真剣をもって見参つかまつりたし。いつまでかくにらみ合っておっても果てしのないこと。峰丹波殿と拙者源三郎と、明朝を期し、白刃の間にあいまみえ、いずれがこの道場の主人となるか、力をもって、即刻決定いたしたき所存……云々」

と、こういう意味の文言。

読み終わった丹波は、サッと変わった顔色を一同にけどられまいと、じっとうつむいて考えこむふり。

怖れていたものが、来たのだ、とうとう。

心配気な顔、顔、顔が、前後左右から、丹波をとりまく。

弱味は見せられない立場です。

「かつて知らぬ刃の味、それを一度、身をもって味わうのも、イヤ、おもしろいことであろう」

変な負け惜しみだ。丹波は、そう謎のようなことを口ずさんだが、その心中は悲壮の極です。斬られる覚悟。

明日を期し、四十何年の生涯の幕を閉じるつもり。

伊賀の源三郎に刃のたたないことは、誰よりも峰丹波が、いちばんよく知っている。

「矢立と懐紙を……」

「源三郎からですか。なんと言ってまいりました」

「おのおの、何もきいてくださるな。朝になればわかることじゃ。