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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
清元か何かうなりながら、片手の蛇の目に春雨をよけて、ニッコリ辻斬りでもやりそうです。
こんなことを考えながら、そばからこの源三郎の横顔を、ほれぼれと眺めているのは、お嬢様の萩乃だ。
「では、どうしても丹波をお斬りになりますの?」
萩乃は、源三郎の寝姿へ団扇で風を送りながら、そうきいた。
あの丹下左膳に連れられて、怖さとうれしさの交錯した不思議な気持で駈けつけた六兵衛の家に、病を養っていた源三郎と、萩乃は、たえてひさしい対面をした。
それが、どうして知れたのか、翌日の夕方、この道場から安積玄心斎、谷大八などが迎いに来て、源三郎ともどもここへ引き取られたのです。道場へ帰ってからは、この座敷に源三郎のそばにつききりで、まだ継母お蓮様や峰丹波をはじめ、不知火の人たちには、姿ひとつ見せずにいる。
嫉妬にかられて、密告するつもりで知らせに来たあのお露は。
案に相違! ながらく行方不明だった若殿のいどころを教えてくれた大恩人だというので、下へもおかぬ待遇ぶり。お礼とあって、大枚の金子までいただき、源三郎と萩乃様が帰って来るちょっと前に、父六兵衛の家へと、鄭重に送りかえされた。