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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

と言いかけて、ものおじしたように他の二人の顔を交みに見くらべたのは、お畳奉行別所信濃守。

蒼白の額に、深い縦じわをきざんで、暗く沈んだ声なのは、よほどの重大事を議しているらしい。

かすかに眼を上げて、別所信濃の言葉の先を待っている二人とはいうまでもなく、柳生対馬守と、家老田丸主水正。

何やらものものしい空気が、その、しめきってムッとする室内に、こもっています。

「護摩堂の壁へ――という話であったが――?」

「は」

主水正と対馬守は、チラと眼をかわしたが、すぐ対馬守が、ひとり言のようにつぶやきつづけて、

「かの有名なる寛永の御造営は、永久の策としてもろもろの計画があったのじゃったが、完成のあかつき、その結果はすべて裏ぎられて、そののちたびたび修繕を加えねばならぬこととなったのじゃ」

と対馬は、こんどこの、日光をお引き受けするについて、家臣を督して調べさせた日光修覆に関する文献をボツボツと思い出しながら、

「御公儀が、この二十年目ごとの日光お直しを思いつかれたのは、それからじゃそうな」

「ハッ、まさにそのとおりで」

あとを受けついだ主水正は、指を折って数えて、