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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
身じたくを終わった伊賀の暴れん坊多勢をさわがすほどのことでもないとそっと縁から庭づたいに、大刀を引っさげて裏口へまわってみると、なるほど、顔に見おぼえのある上屋敷の者が二人、ハアハア息を切らして立っている。
「片腕ではないかナ、その曲者は」
「ハッ、たしかに左手だけのようで……イヤもう恐ろしい使い手、またたくうちに二人ほど――」
ひさしぶりに、丹下左膳に相違ない。そう思うと、源三郎の若い血管は、友情と、剣技の敵としてのなつかしさとの、ふしぎな感情が交流するのを感じて、かれは、だまって小走りに急ぎはじめた。わしづかみにしてきた黒頭巾で、クルクルと顔をつつみながら。
源三郎の臣三人ほど加えて一行六人、シトシトと深夜の土を踏む。
「左膳のやつ、まだウロウロしていてくれればよいが」
源三郎は、旧友に会おうとする心のときめきで、いっぱいだった。
二
「オオ、ここだここだ!」
一人が叫んで、三枚橋を黒門町のほうへすこし行った路傍に、まぐろのように横たわっている死骸へ、提灯の灯をつきつけて、
「ヤ! こいつはだめだ! 殿ッ、これはすっかり息の根が絶えております」
「もう一人斬られたはずですが……」