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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

そのチョビ安様じゃ」

と泰軒居士は、ポカンと口をあけているチョビ安の頭を、しきりになでる。容易ならぬ客らしいと、子供心にも何か感じたチョビ安はあわてて、あぐらの足をキチンとすわりなおした。

「おお、これか、チョビ安と申すは」

と覆面の士は、泰軒へ、

「いや、わしとは思わず、ただある筋から、使いの者が来たと思って、応対してくれい」

覆面のなかの柔和な眼が、静かにほほえんで、

「おぬしも知っておるであろう。あの愚楽老人ナ、彼は、全国に散らばるお庭番の元締めじゃから、ふと思いついて、愚楽老人にこのチョビ安なる者の親の探索を頼んだのじゃ。伊賀の者だということのみを頼りにナ――すると、それが知れたのじゃ」

「えっ! あ、あの、あたいの父や母が――?」

「おお、知れたぞ。今日知れた。で、お美夜への約束を果たそうと、さっそくわしが自分で……イヤ、こうして使いの者をよこしたわけじゃが、これ、チョビ安とやら、そちの父は、いま日光におるぞ、そちも日光へゆくか、どうじゃ。このたびの日光御造営の竣工式に、吉例により紫の衣紋をつけて現われる人こそ、そちの父なのじゃ――」

四

「ねえ、泰軒小父ちゃん、すぐ発足しようじゃアねえか。