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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
したがえてきた部下三人に、すばやく耳うちをした伊賀の暴れん坊。
「左膳の狼藉をとりおさえるがごとく見せかけて、彼が母娘の者を連れて脱出する、その逃げ道をつくってやれ、よいか。ぬかるナ!」
というわけ。四人はいっせいに抜きつれたが、左膳をとり巻いてやたらに刀を振りまわしながら、護摩堂の中へなだれこむだけで、左膳を斬るでもなく、また、伊賀の藩士たちとやいばを合わせるのでも、むろんない。
ただ、源三郎たちは、付近を一大混乱の渦に巻きこんだだけだ。でも、それで十分。左膳の濡れ燕にかかった伊賀侍、十数名。
白い煙のような護摩堂の奥深く、血刀とともにさまよいこんだ丹下左膳。
そこの荒壁の前に、母娘だき合って失神せんばかりの、お蓮様とお美夜ちゃんを見かけるより早く、
「オイッ! さあ、もう大丈夫だ。良民をとらえて人柱などと、これも、この徳川へのおべっかか。なんだ、この日光など、私墳にすぎぬものを……この丹下左膳が来たからにゃア、かような無道なことは断じてさせぬ」
と、二人をかかえてのがれ出ようとすると、近くのお作事部屋に火があがった。これも、源三郎が一人に命じて、混乱の度を大きくするために、火をはなさせたのだ。