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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

ほんのその一個所の地図にすぎぬから……ホラ、この、山中の小みちが辻になっておるところに立って、右手を望めば、二本の杉の木があって――あとはどうにも読めぬが、苔むした大いなる捨石のところより、左にはいり……とある」

「山の中の小みちが四つに合し、その辻から二本の杉が見えて、捨て石があって……これが武蔵国のどことも知れぬとは、もはや探索の手も切れたも同然」

暗然たる愚楽老人の言葉に、越前守は、膝をすすめて、

「しかし、埋宝のあることは、事実でござりますな。だが、大さわぎをしたこけ猿の茶壺は、ただ、これだけのことであったのか」

愚楽老人は憂わしげに、

「柳生はどうするでありましょう」

吉宗公が、

「どうするとは?」

「イエ、さしあたっての日光修営の費用――柳生は、この壺だけを頼りにしておりますのに、武蔵国とだけでは、まるで雲をつかむような話。こうなると、剣にかけては腕達者揃いの柳生藩、苦しまぎれに天下をさわがせねばよいが」

「上様」

と改まった声で、両手をついたのは、越前守忠相、

「柳生を救うため、また、日光御造営に関して、不祥な出来事を防ぎますために、ここは上様、一計が必要かと存じますが」