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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

て、父へ忠言いたした由でござる。それやこれ思い合せると、われわれの会合も、あまりしばしばは宜しくないと考えられる。ここは一層自重せずばなるまいと思われる」

義連の意見に、誰もうなずいた。事実、最初のうちは四、五人に過ぎなかった若い群の会が、いつか三十人となり五十人となり、寄合には顔を見せなくても、

(お前方がやるならば――)

と、黙約の裡に、重きをなしていてくれる中年から老人格の土豪もすでに二、三はある。

この若い群が、大祖父大祖父とよんでいる三浦大介義明など、その一人で、老齢すでに八十をこえていたが、孫たちに負けない元気で、こんどの上洛から帰って来ては、よけい反平氏の意を固めて、孫どもの行動を誡めるどころか、

(春は、爛漫たるもよい。けれど春は春の一瞬で去れ。花園の塵を一掃したら、夏の天下は、青々と若い者の腕にひきうけて、土も肥やし、樹々も刈り、天地の気を新たにしなければいけない)

などと激励していた。

しぐれ輿

一

昼間、時々、時雨ていた。

――と思うと、雨の霽れ間、かあっと、花嫁の部屋まで、明るい冬陽がさしこんだ。

十二月だった。

吉日と云おう。きょうは政子の嫁ぐ日であった。