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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

「朝日新聞」1940(昭和15)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 306,118 字 · 613 页

青空文庫

と、危うげな眼で、傍観していた。

それは多く、庶民のうちでも、知性に優れた人々だった。知識に照らしては、割りきれない現象だからである。

割りきれないといえば、第一、半年やそこらで、地方的な合戦には勝ったところで、鎌倉殿のふところに、そう財力があるわけがない。――京都へでも攻め上って、然るべく、中枢の政権でも取ったうえなら知らない事だがと、説をなす者もある。

知識顔したそれらの人々のいう事はいちいち尤もで道理が立っていたが――にも関わらず民衆の足は、夜が明けても、夜が明けても、鎌倉へ鎌倉へと向いて行った。一日ましに殖えていった。

それとまた。

鎌倉へ住んだが最後、彼等は各※(二の字点、1-2-22)の職につくなりむやみに元気に働いた。ここへ来て鬱陶しい顔をしている人間はなかった。ここの地上に遊んでいる人間はなかった。馬も牛も――犬までが働いているように見えた。

なぜだろう?

そんな事を考えている閑人はここにはないが、とにかく働かずにいられないのだ。働くことが愉快にされるのだ。どこの国府よりは明るいのである。――そして、

「これからさ!」

「世の中はこれからだよ!」