轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
その日は、ろくに仕事もしなかった。彼を使っている大工頭も、彼にだけは、叱言もいえないで、見ぬ振りをしているのである。
六
楊柳のみどりを煙らして、春の陽はうすずきかけていた。
広い造営の庭には、傍目もふらずに、多くの者が汗にまみれていた。その雑工の中で働いている者は、たいがい賃銀を求めずに、自分たちの家事や畑仕事の暇を見ては、半刻でもと奉仕の労働に来ている人々だった。
一念帰命の
苗をうえ
念々称名の水をかけ
雑行、雑修の
草をとり――
親鸞が稲田で作った田植の歌はここの汗の中でも唄われていた。二丈あまりの材木が、その人々の粒々とながす汗に引き摺られて、作事場のほうへ曳かれて行くのだった。
巨材の木口には、かすがいを打って、鎹には、綱がくくり付けられてある。その綱に、三十人余りの老人や女や童がつかまって、
「えいやあ、えいやあ」と、蟻のように曳いては、
一念帰命の
苗をうえ――
汗は、その人たちの顔に、光りかがやいていた。
単に、自分たちの、飢えをふさぐためや、酒をのむために流す安価な労働では得られない、何かしら大きな幸福感につつまれて、彼らは、声を張りあげていた。