轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
「? ……」だが、平次郎は、うなずかなかった。
じっと、圧し黙っている。強情な一徹な気性を、さながら二つの拳にあらわして、膝にかためたまま、黙っている。
「のう……」お吉のやさしい耳元のささやきにも答えないで。
前には、上人がいる。弟子たちがいる。
また、城主、郡司、その臣下、そして、集まっている無数の民衆がいる。
そのすべてが、仏の帰依者である。けれど、平次郎にはまだ、
(ウム)と、素直にいえないらしい。
なぜ。それを平次郎は今、あたりの人々に憚って口にいえないらしかったが、彼の気持をもし率直にいわせるならば、
(仏なんてない)と、自分に教えたのは、仏に仕える人であり、
(神もない)と、自分の頭脳へ沁みこませた人も、また、神に仕える人だったのである。
彼が、お吉との間にもうけた愛児は、ない神をあるように思い、ない仏をあるように信じたから、死なしてしまったのだと考えていた。
いいかげんな僧侶だの、怪しげな山伏だの、そういう類の者に信仰へ導かれて、彼は、たった一人の可愛い子を死なすために、夫婦して、食べる物も食べず、着るものも着ず、稼いだ金や、ささやかな蓄えを、みんなそれらの祈祷料だのなんだのに捧げてしまったのである。