轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
初めは脱兎のごとく、終りは処女のように、四王院がそこそこに座をすべると、他の若法師たちも、気まりわるげに、退散してしまった。
六
朝はまだ早かった。
霧に濡れている一山の峰や谷々で、寺の鐘が、刻をあわせて、一斉に鳴りだした。
揺するように、横川で鳴ると、西塔や、東塔の谷でも、ごうん、ごうん……と鐘の音が答え合った。
「おや、当院の鐘は、どうしたのじゃ」西塔の如法堂で、学頭の中年僧が、方丈から首を出した。
「鐘楼へは、誰も行っていないのか」
「けさの番は、朱王房です、たしか参っているはずです」と、中庭を隔てた学僧の房で、多勢の学僧たちが、新しい袈裟をつけながら返辞した。
「耳のせいか、わしには、聞えんが……」
「そういえば、鳴らんようです」
「困るではないか。今日は、根本中堂で、範宴少納言の授戒入壇式が、おごそかに上げられる日だ」
「吾々も、これから、阿闍梨に従いて、参列することになっています」
「それよりも、一山同鐘の礼を欠いては、当院だけが、中堂の令に叛く意志を示すわけになる。台教興隆のよろこびの鐘だ。――誰か、見てこい」
「はっ」学僧の一人が、駈けて行った。
鐘楼の下から仰ぐと、誰かそこに立っている。