轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
姫は、じっと睫毛に白珠をためながら、
「でも、お父さま……」何かいおうとしたが、
「すみません」と、ただ微かに詫びる。
「すむも、すまぬもない。そんな気づかいがそもそもわるい。そうじゃ、もうこの別荘の梅林も、きょうあたりはだいぶ綻びていよう、そこの蔀を上げてみい。――万野」いたのかいないのかわからぬように、几帳のうしろで、じっと俯向いていた万野は、その時はじめて、
「はい……」と返辞をして、
「姫さま、すこし、戸外の光をご覧あそばしますか」
身をのばして、姫の顔へ訊いた。
(嫌……)というように、姫は、よけいに沈んだ顔いろを見せ、さらにまた、父へ、
「わたくしは、どうしてこう不孝者に生れついたのでございましょう」それから――よよと低くすすり泣くのであった。
禅閤は、なぐさめる言葉もなく、腕をこまぬいてしまった。押し出されるように太い息が出るのであった。
姫のこういう状態が、何に原因しているかを、この父の君は、薄々知らないこともないのである。――しかしそれは父子の仲でも口にのぼせない問題だった、もし口にするならば、姫の状態をもっと悪くすることが分りきっているし、父としてのいうべき意見もいわなければならない――。