轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
四
「お……そう仰っしゃれば」やっと解けたらしく、
「思い出しました」松虫は、何とはなく、羞恥に顔を染めた。
「住蓮をお紹介わせしましょう」安楽房は、ちょっと戻って行って、すぐ友の住蓮を伴れてきた。武士として鍛えた体に、聡明な知識を持ったこの二人の若くて逞しい男性のすがたは、すぐふたりの気持をつよく囚えてしまった。
間もなく、ふたりは山を降りていたが、ふたりとも妙に無口になっていた。加茂の岸に立って振向くと、山にはまだポチと二つの灯が残っていた。――住蓮と安楽房の眸がそこで呼んでいるように。
同時に、松虫も鈴虫も、これから帰って行かなければならない御所の奥の生活と、そこの灯の色を想像してよけいに心が暗くなった。
「もう何刻でしょう、松虫様」
「さあ……」
「すっかり遅くなってしまいました。何と、云い訳をしたらよいでしょうね」鈴虫は、もうその心配に、胸をいためているらしかった。
御所の規律のやかましいことはいうまでもない。まして、後宮は、貞操の檻である。松虫も、同じように、局の老女や役人の猜疑な眼や針のような言葉が、帰らぬうちから頭を刺して、さっきから足がすすまないのであった。